会長挨拶
北海道透析医会
会長 後藤 順一
(札幌北楡病院 外科部長・人工臓器治療センター長)
北海道透析医会は、透析療法の向上発展に努め、地域における透析医療に献身することを目的に結成された会です。前会長の久木田和丘先生が2023年11月に急逝され、2024年6月の理事会において不肖私が会長に選任されました。北海道透析医会は昭和54年に発足し初代会長は渡井幾男先生(昭和54年~平成元年)、二代会長は猪野毛健男先生(平成元年~平成6年)、三代会長は今忠正先生(平成6年~平成25年)四代会長は大平整爾先生(平成26年~平成29年)、五代会長は久木田和丘先生(平成30年~令和5年)の諸先生が歴任されてきました。私で六代になる歴史ある会です。
過去の医学の歴史を見ると慢性腎不全患者さんの治療は延命が主体でありました。そういった中、Kolffが急性腎不全に対して回転式ドラム式人工腎臓を用いて治療に成功したのは、1945年(昭和20年)でした。本邦では1955年(昭和30年)頃に人工腎臓が臨床使用され、北海道では1959年(昭和34年)に北海道大学医学部第一外科で膜型人工内臓における体外循環の研究が始まり、同年札幌医科大学麻酔科でコルフ型人工腎の試作と透析による中毒治療の研究が行われ、また同年北海道大学医学部泌尿器科で木本外科式人工腎による急性腎不全の治療が行われました。1966年(昭和41年)にはバスキュラーアクセスとして内シャントが発表され日本でも使用されるようになり、現在の安定した血液透析療法の隆盛を招きました。その後数々の治療法も開発され、貧血においてはエリスロポエチン製剤から最近ではHIF-PH阻害薬、CKD-MBD(慢性腎臓病における骨代謝異常)においても新薬が続々と上梓され、バスキュラーアクセスにおいても狭窄部に対するステント治療、DCBバルーンなど最近の透析医療の進歩には目覚ましいものがあります。
北海道透析医会ではこのように進歩する透析医療において、札幌市透析医会と合同で定期的に学術講演会を開催しております。また最近では地震、停電、場所によっては断水などの災害が多く、そういった災害時は患者さんを守る必要があります。透析医会はそれにできる限りそれに対処し、緊急時には相互の連携ができるよう努力しております。全国組織である日本透析医会は透析患者さんの安全確保に全力をささげるべく活動を行っておられ、北海道透析医会もその趣意に同調して活動しております。今後とも当会の活動に賛同いただけるようご支援のほどよろしくお願いいたします。