会長挨拶

北海道透析医会
会長 久木田和丘(札幌北楡病院)

 透析療法の黎明期には透析を施行すること自体が大テーマであり、慢性腎不全では救命と延命が主体でありました。
 本邦の透析の歴史は1955年(昭和30年)頃に人工腎臓が臨床使用されたようです。北海道では昭和34年に北海道大学医学部、第一外科で膜型人工内臓における体外循環の研究が始まり、同年札幌医科大学麻酔科でコルフ型人工腎の試作と透析による中毒治療の研究が行われ、また同年北海道大学医学部泌尿器科で木本外科式人工腎による急性腎不全の治療が行われました。その翌年には北海道大学医学部、第一外科でポータブル型人工腎臓の試作と急性腎不全への臨床応用が行われております。世界の透析を見ると Kolffが急性腎不全に対して回転式ドラム式人工腎臓を用いて治療に成功したのは、1945年(昭和20年)でした。1960年(昭和35年)に長期に使用可能な外シャントが発表され、これにより慢性腎不全に対する長期透析が可能となりました1966年(昭和41年)には内シャントが発表され日本でも応用されるようになり、現在の血液透析療法の隆盛を招きました。経済的には自費でしか受けられなかった血液透析が本邦では昭和43年に健康保険適応となり多くの末期腎不全の患者さんが救命、生存が可能となりました。現在本邦の透析患者さんの数は33万人を越えています。
 北海道透析医会は昭和54年に発足し初代会長は渡井医院を開設された渡井幾男先生(昭和54年~平成元年)、二代会長は猪野毛健男先生(平成元年~平成6年)、三代会長は今忠正先生(平成6年~平成25年)四代会長は大平整爾先生(平成26年~平成29年)の諸先生が歴任されてきました。私で平成30年、五代になります。
 北海道透析医会では近年は年に1回の総会のほか、外部講師を招請し札幌市透析医会と合同で学術講演会を開催しております。最近は地震、停電、場所によっては断水などの災害が多く、透析医会もそれに対処する必要があります。日本透析医会は透析患者さんの安全確保に全力をささげるべく活動を行っておられます。北海道透析医会もその趣意に同調して活動していけるよう努力したいと考えます。